...Melting Love...―愛檻―
言い訳する気にはならなかった。
二楷堂のためを思ってだとか、それは全部私がそうしたかっただけで二楷堂に恩を着せるためにしたわけじゃない。
だから、責めるなら責めてくれてよかったのに、二楷堂はそうしなかった。
「そんな素直に謝られると怒れないよ。
それに、亜姫の気持ちは分かったから。
そうまでして俺を守ろうとしてくれたのに、ただ亜姫を怒るなんてできない」
二楷堂はそう困り顔で微笑んでからおもむろに立ち上がり、私の隣に座る。
肩が触れそうな距離から優しい眼差しを向けられて、どうしていいか分からなくなる。
「俺の事が協会に知られないようにって心配してくれるのは嬉しい。
だけど、俺にはそれよりももっと優先して欲しい事がある」
「……自分の身を危険にさらすなって事?」
「もちろんそれはある。亜姫に何かあったら困るし、きっと俺は理性を失うと思うし。
だからそうならないように、いつも一緒にいて欲しいんだ。
前も言ったと思うけど覚えてる?」