...Melting Love...―愛檻―


「そう……」
「だから、亜姫がその気になったなら今俺の首に牙を立てても問題ないよ」

そう笑みを浮かべた二楷堂が、私の手をとって自分の鎖骨の辺りに触れさせる。
冗談として適当に流したかったけど、変な間が空いてしまったせいでうまく交わす事ができなくなってしまって。

そんな私に、二楷堂は優しく微笑んだ。

「亜姫がその気になったらって話だよ。
その時は他の男じゃなく俺を襲って欲しいから。
亜姫が俺以外の男にキスするとか、考えただけで頭がおかしくなりそうだ」
「キスって……吸血行為はキスじゃないじゃない」

ベッドに横たわったままの私に追いかぶさるように体勢を変えた二楷堂が、上から見下ろす。
ベッドが軋んで、接触する肌にドキっと胸がはねた。

今までもっとすごい事していたっていうのに、未だに二楷堂に慣れないから困る。

「血を吸う時、相手のどこかしらには口づけるわけだし、キスだと思うけど」




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