...Melting Love...―愛檻―
書類は契約書だった。
内容は、ハンターとの結婚、除名の件、ヴァンパイア界への接触の禁止、接触した場合の処刑を承認する事……。
協会のみにいいように作られた内容に顔をしかめる。
「ハンター側と歩み寄るきっかけなんて、やっぱり嘘だったんですね。
会長は自分たちが優位に立って世界を支配したいっていう事しか考えてない。
私がこの書類にサインしなければならない義務はありません」
睨み返しながら言うと会長はしばらく黙っていたけれど、そのうちにクっと喉で笑う。
「私の指示ひとつでおまえの祖父母がどうにでもなる事を覚えておいた方がいい。
王家だろうがなんだろうが、今は私の手の内だ。どうとでもなる」
「どうとでもって……」
「もちろん、おまえがサインするって言うなら祖父母には今のままの生活を保障しよう。
その項目は今書き足してもいい。
つまりはおまえの返事次第だ。あまり待つつもりもない。
あと三分で決めなければ、おまえの祖父母のところに協会のものを向かわせる」