...Melting Love...―愛檻―
「血の匂いがするな。死ぬのは自由だがここではやめてくれ。
始末が大変だ」
悔しい。
それ以外の言葉が浮かばなかった。
こんな男の言いなりにならなければいけないなんて、悔しくて堪らないし絶対に嫌だ。
ただ大きな権力を顎で振りかざして、苦しんでいる姿をあざけ笑うだけの男の命令になんて死んでも従いたくはない。
――だけど。
おばあちゃんたちを危険にさらすような真似はできない。
「私の祖父母の生活は保障するって項目を、今すぐ書いてください」
俯いたままそう告げると、会長は笑いながら立ち上がり私の前にある書類に手を伸ばした。
そして、私を見る。
「いいか? 私に刃向おうなんて考えない方がいい。
おまえが今襲いかかってきたところで、外に控えている協会のものがおまえを止める。
おまえにできる事は、育ててくれた祖父母の安全のためにハンターと結婚する事のみだ」