...Melting Love...―愛檻―


「ああ、ちなみにあなたの息のかかった人たちに命令して、俺を始末しようとしても無駄だって事は覚えておいてください。
昔のように力がないわけじゃないって事もありますが、あなたの命令はもう誰も聞かないよう伝えてあります。
もちろん、それを破った時ただじゃすまない事を明記した書類にサインも頂いていますから、変な考えを起こさないように」

そこまで言ってから、声のトーンが変わる。
低く響く声の圧に、びりびりと空気が震えていた。

「あなたの処分についてはゆっくり考えますから。
死ぬのは自由ですが逃げ出しても無駄だって事は忘れないように」

二楷堂の威圧に、会長は顔を真っ青にして頭を下げる。

申し訳ありません、と何度も謝っていたけれど、二楷堂はそれを無視するように私の肩を抱いて部屋を出た。

ドアが閉まりきるまで、会長の謝る声が聞こえていた。




< 205 / 229 >

この作品をシェア

pagetop