...Melting Love...―愛檻―
「ああ。紅月様は納得してくださった」
「え……でも、紅月様は、協会寄りの考えだって聞いてますけど……納得したんですか?」
だからこそ、協会は紅月様に王位を継承したいって事だったハズ。
だからこそ……二楷堂を殺そうとしたのに、そんな一筋縄でいくとは思えない。
そんな思いで聞くと、正志さんは深く頷いた。
「紅月様は何も知らなかったんだ。協会が今まで陰でしてきた事を。
何も知らないまま協会が正義だと教えられ続けただけで。
今までの事や、協会の考えのままヴァンパイア界が進んでいったらいずれ争いになる事を話したら、驚いてらっしゃった」
「そんな事だと思ったよ。
いとこの俺でさえ紅月さんにはあまり会った事がない、つまり軟禁状態で外部からの情報を入れることなく協会関係者の言葉だけを受け入れさせられてきたんだ。
マインドコントロールされていてもおかしくはなかった。
……美音さんがいなければね」
二楷堂がロビーの端にいる美音に視線を向ける。
その先で、美音はふふっと色気たっぷりの笑みを浮かべた。