...Melting Love...―愛檻―
「なんで……美音、紅月様に何かしたの?」
「失礼な聞き方ね。私はただ事実を教えたまでよ。
何も知らない無知な紅月様に近寄って、協会の動きを伝えてただけ」
「協会の動きって、だって美音は協会側のヴァンパイアじゃない。
なのになんで協会に逆らうような事……」
「言ったじゃない。亜姫ちゃんが好きだって。
亜姫ちゃんをハンターなんかと無理やり結婚させようとしてるって聞いて、阻止したかったのよ。
だけど、協会に意見できるヴァンパイアなんて今はいない。
だから、来年王位を継承するっていう紅月様に近づいたの」
話しながら歩く美音がロビー中央まで来て私に近づく。
カツカツと高いヒールを鳴らしながら歩く姿に、ハンターの人も見惚れているように見えた。
「私もね、独自に亜姫ちゃんのお母さんの死については調べてたの。
それで、亜姫ちゃんが王子から聞いたような内容をつきとめていたから、それを紅月様に伝えたわ。
協会の隠ぺい体質のせいでツラい思いをしているヴァンパイアがたくさんいるって話を大げさにしてね。
私の話に紅月様は耳を傾けてくれて、事実として受け止めてくれたの」