...Melting Love...―愛檻―


「ヴァンパイア界に王位継承の件とハンターとの協定についての件を周知させる。
そして、一週間後に王位継承式を行う」
「継承式の時に、亜姫さんとの関係も公表するのか?」
「え……っ、いえ! しないです!」

何を言い出すんだと驚きながら咄嗟に否定したのに、二楷堂が考えるような仕草を見せるから慌てて止める。

「考える必要なんかないじゃない! 二楷堂が王位を継承するってだけでも大騒ぎになるんだから、そこにわざわざ私の事を出すなんておかしいでしょ!」
「そうかな。だけどヴァンパイア界全部に亜姫が俺のものだって事を知らしめるにはいい機会だろ?」
「知らしめる必要なんか……っ」
「この間みたいに狂った男に襲われたんじゃたまらないからね。
まさか忘れたとは言わせないよ、亜姫」

その件に関しては勝手な行動をしての結果なだけに下手に反論できなくなって、黙るしかなくなってしまって。

そんな私たちを見てか、正志さんが笑いながら忠告する。






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