...Melting Love...―愛檻―


「亜姫さん、諦めた方がいい。
こいつは昔から気に入ったものはどんな事をしてでも自分の傍に置いておくタイプだから、そのためだったら平気で檻でもなんでも作る。
王家って檻に閉じ込めるつもりなんだろう」
「檻って……」

苦笑いしかもらせずにいると、それに追い打ちをかけるように美音が話し出す。

「私もそれは感じてたわ。
亜姫ちゃんが狂ったヴァンパイアに襲われた後、私に見せつけるように亜姫ちゃんを抱いてたから、見せつける事で快感を得るタイプの変態かと思ってたけど、やっぱりそういう趣向の持ち主だったのね」
「え……っ、見てたの?!」
「別にわざと覗きに行ったわけじゃないわ。
ただ、亜姫ちゃんあのヴァンパイアに襲われてケガしてたし、動揺してたみたいだから心配で様子を見にいっただけよ。
窓から覗いたら、王子と目が合って、少しはそのまま見てたけどすぐ帰ったわ」
「し、知ってたの……?!」

今度は二楷堂を見ながら聞くと、当たり前のように頷かれてしまった。


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