...Melting Love...―愛檻―
その男の子の瞳が二楷堂のそれと重なって……信じられない思いになって笑ってしまった。
まさかそんな昔に会ってたなんて思わなかったから。
「ずっとその子が私だって気づいてたの?」
「もちろん。言っただろ、ずっと見てたって。
大学で再会するまでも、ずっと亜姫の様子は見てたんだ。心配だったから」
さらっと言ってるけど、行動自体は盗む見してたわけだしまるっきりストーカーだ。
そう思ったけれど、もう今更だしと抗議する事を諦める。
「じゃあ、中学の頃、美音と夜出かけたりするのも見てたの?」
「見てたよ。相手の男を殺したい思いに駆られながら。
本当ならすぐにでも亜姫の前に姿を現したかった。
だけど、その時はまだ美音さんの家で暮らしていたし、美音さんの家は協会と繋がりがあるから下手に行動するのはマズイと思って我慢してたんだ。
たまに亜姫が寝ている時部屋に忍び込んだ事はあったけどね」
「……それ、犯罪だからね。まるっきり不法侵入じゃない」
「人間の間ではそういう事になってるけど、ヴァンパイアには通じないよ」
「人間とうまく共存していくって決めたなら、人間のルールに従うべきじゃないの?
王子がそれじゃ決まりがつかないでしょ」