...Melting Love...―愛檻―
二楷堂は苦笑いを浮かべて、その通りだと自分の罪を認める。
それから反省の表情を微笑みに変えて弁解を始めた。
私の頬や髪に触れたまま撫でまわす指が、くすぐったい。
「でも、初恋だったって事で見逃してくれないかな。
誰でも初めて恋に堕ちた時は少しくらい動揺するものだし。
それにちゃんとラブレターも出してただろ。
協会を通して結婚を申し込んでたのに無視してきたのは亜姫の方だ」
「だからって動揺して犯罪行為に走る人はそういないと思うけど」
「それは亜姫が男を知らないだけだよ。俺みたいなヤツはどこにでもいる」
嘘ばかりと呆れて笑う私を見て、二楷堂が聞く。
「亜姫は俺に犯罪行為をしたいほど惹かれてはいないって事かな」
「私は理性があるから。
……それに、そんな事しなくても二楷堂は傍にいてくれるし必要ないでしょ」
「亜姫が不安に駆られるあまり俺の部屋に不法侵入してくれればいいと思うけど……無理だな。
亜姫が不安を感じる前に俺が不安になるし、第一そんなに長い間離れてるなんてできない。
先に惚れた方が弱いっていうのはこういう事か」
そう言って困り顔で笑う二楷堂の手を捕まえて、そのままきゅっと握る。