...Melting Love...―愛檻―
最近になって、おばあちゃんはやけに私の恋愛事情を知りたがる。
それが、電話をしない理由でもあるんだけど。
「――で、何か用? 美音」
ケータイをショートパンツのポケットに入れながら言う。
美音は、ダンボールの影から姿を現すと、首を傾げた。
「あれ、おかしいなー。気付いてないと思ったのに」
「こないだはたまたま気付かなかっただけ。
気配で分かるの、知ってるでしょ」
美音だってヴァンパイアなんだから。
そう言いたかったのが分かったみたいで、美音は意味深に笑う。
「まぁね。私達ならそれぐらい分かって当然か。
驚かそうと思ったのに残念」
「今日は何の用? できれば大学には来て欲しくないって言ったハズだけど」
「別にいいじゃない。亜姫ちゃんのお友達を襲ったりしないから安心してよ」
「友達なんかいないの知ってるでしょ。
けど、ここで手を出すのはやめて」
私の言葉を聞いて、美音は小さなため息をついた。