...Melting Love...―愛檻―


「やっぱり作ってないんだ、友達」
「……私にどういう危険性があるかは、美音が一番よく分かってるんじゃないの?
協会に禁止されてる事も」
「親しい友達なんか作って目の前で油断されたら、思わず噛み付いちゃうかもしれないから?」
「親しくなればなるほど危険な目に遭わせる可能性が高くなるって、協会の判断らしいから。
知ってるでしょ? そのせいで、見張り役なんてさせられてるんだから」
「私は、協会に言われただけだもん。
遺伝だとか、そんな話持ち出されて可能性がどうのって言われても、よく分からないし。
だから、実際の亜姫ちゃんにどんな危険性があるのかは知らないわ」

チラって私を見てから、美音はこつこつと足音を響かせて近づいてくる。
短いスカートからすっと伸びた足がはくのは、ヒールの高いサンダル。

「私から見る限りは、どう見ても無害にしか見えないけどねー。
まぁ、気持ち押し込めすぎて爆発しないか心配ではあるけど」

指先には、赤いペディキュアがしてあった。

美音は赤い色を好む。
だから、他のヴァンパイアよりも血を吸いたがるのかも。


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