...Melting Love...―愛檻―
◇逃げられない罠
「あ、予鈴……」
響くようになったチャイムの音を聞いて、昼休みももうわずかで終わる事を思い出す。
急いで次の抗議が行われる教室に行こうと思って一歩踏み出して……足が止まった。
進もうと思った先に、二楷堂の姿があったから。
「……いつから、いたの?」
美音との会話を聞かれてたらまずい。
そう思って咄嗟に聞くと、二楷堂はゆっくりと私に近づきながら首を傾げる。
「亜姫がおばあちゃんと電話してる時からかな」
「じゃあ、その後の事も見てたの?」
「見てたよ。
本当なら、電話の後すぐに俺が出て行こうと思ってたんだけど……まさか先を越されるとは思ってなかった。
ヴァンパイア同士の嗅覚がそんなにいいとは思わなかったよ」
さらっと言った言葉に、一瞬、頭が真っ白になった。
“ヴァンパイア同士”
つまり……二楷堂は――。