...Melting Love...―愛檻―


「最初に言っただろ? 亜姫の秘密を知ってるって。
亜姫がヴァンパイアだって、知ってるって」
「……思わせぶりな事言っておいて、脅すつもりだけかもしれないとも思ってたから」
「そんな卑怯な真似しないよ」
「なんで……」
「ちょっと待って」

目の前まで来た二楷堂が、私の唇を人差し指で押さえる。
思わず黙ると、二楷堂はニコって笑った。

「答えてあげる質問はひとつだけだよ」
「そんなの……っ」
「ひとつは答えてあげるけど、ふたつ目からは条件をつける。
俺も亜姫に聞きたい事があるから、俺がひとつ答えたら亜姫も答えるっていう交換条件で。
どうする?」

小悪魔だと思う。
にっこりと悩殺するような笑顔を向けながら、ズルい提案してくるなんて。

だって……ヴァンパイアの事を詳しく聞かれたら困るって、二楷堂はきっと分かってる。
だから、二楷堂にできる質問は必然的にひとつだけ。


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