...Melting Love...―愛檻―


今までは、友達って呼べる子すらいなかったし、誰とも本心で話してこなかった。
話しかけられても、意識して悪い反応を返したりして。
それを何度か繰り返せば、もう向こうから話しかけてくることはなくなるって知ってたから、冷たく演じて周りを遠ざけてた。

陰口を叩かれたって嫌われたって、自分でそうなるように仕向けた結果。
だから、どんな事されたって平気だったし、悪口だって気にしないでいい。

いつも、そういうスタンスを心がけてきた。

だって、嫌がらせされてるのも悪口を言われてるのも、“本当の自分”じゃないから。

そうやって、傷つく事から逃げてきたから。

ヴァンパイア界からも問題児扱いされて、人間界でも慣れ親しんじゃいけない自分を守るために。
いつだって、無関心で何をされても平気って顔して、逃げて歩いてきた。

今日の今日まで、ずっと。

ずっと、誰にも。
本心を向けたりしなかった。



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