...Melting Love...―愛檻―
◇ヴァンパイアと王子様



――最初から、私は二楷堂の思うまま。
まるで、二楷堂の思い描いてるシナリオを、無意識のうちに演じさせられてるみたいだ。

「亜姫が俺に噛み付いてくれないかって思いながらキスしてたんだけど……亜姫はなかなか理性が強くて思い通りにいかなくて困ってたんだ。
それどころか、キスだけで満足できちゃうみたいだったし」

二楷堂の唇が、こめかみのあたりに触れる。
それから、輪郭を辿るみたいにおでこにキスをする。

ぼんやりとした頭とドキドキ騒がしい胸じゃ、二楷堂の言葉の意味をきちんと理解するのは難しかった。

「……え?」
「さっきの子が言ってた通り、性欲が高まるのと同時に、本能でもある吸血衝動は強くなる。
でも亜姫は多分、自分を無意識に抑えつけてるから、それが効かない。
それにプラスして、小食なんだろうね。
キスした時に得た精気だけで、満足できるなんて」




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