...Melting Love...―愛檻―


なんで、そんなに詳しいんだろう。
ふと、そんな疑問が浮かんだ。

美音が詳しいのは分かる。
だって、自分がヴァンパイアなんだから。
けど、二楷堂はそうじゃないのに、なんで……?

「本、で読んで知ったの?」

働かない頭と働きすぎる心臓のせいで、声がうまくでない。
それでもなんとか聞くと、二楷堂は肯定とも否定ともとれる笑みを見せた。

「そんなところかな。
亜姫の体調だとかをよく知ってるのは、それだけ亜姫を見てるからだけどね。
例えば……キスしてから3日くらい経つと、少しずつ体調を崩し始めるとか」

二楷堂が少しかがんで、私と視線を合わせる。

「キスで得た精気は、一時的に満足はできるけど長続きはしないから。
実際に血を体内に入れたのとはわけが違うんだ。
今日で5日目だけど、体調はどう?」



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