形見
懐かしい夢を見た。
十歳頃の、秋祭りの。
十希と初めて会った日の記憶。
何であんな夢を見たのだろう。
あの日も、遠くにお囃子が聞こえていたからか。
それとも寝顔の無防備さが、あの笑顔の無邪気さに重なったからか。
自分を抱き上げたまま彼は大きな屋敷へと走って行って、ひとつの部屋に閉じこもった。
屋敷には彼の他に、自分の母くらいの年の女の人が数人いて、みんな驚いたように自分を見ていた。
その部屋で、要は十希と名乗った男の人とたくさん遊んだ。