形見




それから、折を見ては屋敷を脱け出し、青年に会いに行くようになった。



彼はいつも何かしら本を読んでいた。



物語のことも随筆のこともあったけれど、いつも一緒になって読んだ。







脛の爛れが消えたことを



肩の皮膚が滑らかになったことを



一番に伝えたのは彼だった。



そのたびに彼は喜んでくれた。



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