アフター・スターマイン
「……お前、足痛かったんじゃなかったっけ」
「ん? もう治ったよ」
吾妻くんの部屋を出て、アパート裏の駐車場の隅に二人でしゃがみ込んでこっそりと。
近所迷惑にならないように、線香花火だけに火をともして。
……昔も確かこんなふうに、向かい合ってじっと息を詰めていたような気がします。
少しでも揺らせば、すぐに落ちてしまう。
だけどもっと長く見ていたい。
この人の隣で、長く長く。
そうして何度も、パチパチと弾けるオレンジ色の光を目に焼き付けた、
あの頃みたいに。
「……あ、」
「はは、へったくそー」
「うるさい」
「ほら、私のきれい」
「……うん、」
――きれい。
そう言って笑い合えることが、やっぱり何よりも嬉しいから。