After the rain
あのマクドナルド事件の当事者が彼だったなんて!


かすみは、全身に鳥肌が立つ程に驚いて言葉を出せないでいた。


「さっき携帯渡す為に前に回り込んで顔見た瞬間にアレ?って思ったんだよねー!ヤベーよ、今スッゲー鳥肌!」
「あたしも!じゃあ今日で二回目なんだ!」
「いや、三回目だよ。」
「え、もう一回会ってるって事?いつ?」


彼は、かすみが通う整形外科の診察券を財布から取り出した。


「ウッソ!ここあたしも通ってるんだけど!何で?」
「今月のさ、ゴールデンウィーク明けのめっちゃ天気悪かった日覚えてる?」
「あー、うん。覚えてる。あたし朝から行ってたもん。」


確かあの日も待合室にもリハビリ室にも彼のような人は居なかったはず。


「俺だよ?あの雨の中でコケて、タクシーのおっちゃんと助けてくれたじゃん。車椅子借りてきてくれたでしょ?」
「あああ!そうだ!あの時もキャップにマスク姿だった!」
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