After the rain
もちろん、タクシーの運転手さんも駆け寄って来た。


「お兄さん大丈夫?!立てるかい?」


何て人が良いのか。

雨に濡れながらも運転手さんは男性に手を貸していた。

「あ、車椅子借りて来ましょうか?」
「そうだね、そうしてあげて!」
「はい。ちょっと、待ってて下さいね!」

かすみと運転手さんのやり取りを聞いていて、男性は初めて口を開いた。

「すみません、本当。」


慌てて車椅子を借りに行くと、中に居た看護師さんも一緒に出て来てくれた。


「ありがとうございます。本当、すみませんでした。」
「いえ、じゃあ、失礼します。」


これが、最初の彼との出会いだった。
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