After the rain
「実はさ、俺バンドやってんだよね。」


陽輔の口からこの話題が切り出されたのは、ひとしきり野球の話題が盛り上がった後だった。

あのマクドナルド事件の時の元カノの暴言から、陽輔がバンドマンなのは何と無く分かっていたけど。


「メジャーデビューはしてないから、全然有名じゃないし、本当に売れてないんだけど。」

こう前置きをして、バンド名をGalaxyと教えてくれた。


「今年でもう8年目になるんだー。一応CDも出してるし、雑誌にも時々出させてもらったり、ネットの方では動画サイトとかで宣伝しまくってるからそういうのが好きな子には知られてるんだけどねー。」


陽輔が言う動画サイトは、初めて聞いた名前だった。

それに、インディーズとメジャーの違いも全く分からなかった。


「You tubeなら知ってる?」
「うん!昔やってたアニメの動画とか犬とか猫の癒しの動画見るのによく使ってるから。」
「じゃあさ、メルアド教えてよ!添付して送るから!あ、ちなみに俺、ギターやってんだ。」


そんな話をして、帰宅してみたら時計は午前3時を過ぎていた。
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