After the rain
「じゃあ、またね!」
「うん。送ってくれてありがとう!」


かすみを送って、帰って行く陽輔。


角を曲がる前に一度振り返ってくれた。


小さく手を振ると、陽輔は大きく振り返えしてくれた。


もし、陽輔があのまま変わらないでいてくれるなら。

こんな毎日が、続くなら。


それはかすみの理想通りで、全部嫌な記憶を消してしまえそうな気がした。


このまま信じて、好きになっても大丈夫かな。


30を越えて、まだこんな気持ちになれるなんて。


まだまだ色々と、捨てたもんじゃないのかも。


やっぱり、誰かを好きになるのって楽しい事だって、改めて気付かされた誕生日の夜だった。
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