After the rain
昴が由香里と言った。

その名前には、友美子にも記憶がある。


「陽輔、由香里と別れたって本当?」
「ああ、うん。」
「いつ!」
「ちょうど、一ヶ月くらい前だったかな。」
「良かったなぁー。あんなDV女。別れて正解だよ。」
「まぁなー。うん、良かったかも。」
「かも、じゃねーって!お前の部屋を自分の物かのように、何でも支配したがるなんてさ。挙げ句の果てには階段から突き落とすとか、殺人未遂じゃん。」
「あれはなぁ。俺も落ちながら、あ、俺死んだ、って思った。」
「そんなんしといて知らん顔して、新しい獲物でも狙ってんのか、新しい男連れて両手にいっぱいブランドの紙袋ぶら下げてたって。」
「ふーん。ま、いいんじゃない?もう興味ねーし。」
「あらっ!二年も付き合って、アッサリしてんねー。」


この雰囲気からして、未練は無しとして良いだろう。


「あ、アレだ!運命の出会いをした、あの人!」
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