マーブル色の太陽


「ど、どうしたの!?」


矢沢さんは僕の体を押さえつけながら、咄嗟にナースコールのボタンを押し、のんびりと「どうしました?」と言う天井に向かって叫ぶ。


「乳酸リンゲル液、お願いします!」


矢沢さんのその声が合図だったかのように、白かった視界が黒に変わり始める。

真っ黒ではない。

日が暮れる時のような、太陽が沈んだ後のような、徐々に明るさが消え、周りの輪郭がぼやけ始める、そんな、闇と同化していく感覚。

そんな視界の変化を感じた。

それに伴い、徐々に頭の中の痛みも引いていく。


 
< 13 / 672 >

この作品をシェア

pagetop