マーブル色の太陽

僕の視線に江口さんが気づく。

そして、こちらを向こうとする気配を見せた時だった。


『目、逸らすな』


僕は頭の中に響いた『声』に動きを静止する。

僕の体は『声』に対して、もう条件反射するようになっていた。


『いいか、ゆっくり3秒間、その女を見ろ』


江口さんは僕がまだ見続けていることに驚いたのか、さりげなく教科書に顔を戻した。

だが、僕がそのまま、ゆっくりと3つ数えているうちに、恐る恐るという風に、またこちらを見て「ん?」という顔を作ってくれた。
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