マーブル色の太陽


「あの……」


声に振り向くと、そこには江口さんが立っていた。

手には金色の楽器を持っている。

そういえば、彼女は吹奏楽部だった。

さっき通り過ぎた教室で練習していたのかもしれない。


「江口……何か用か?」


取り巻きの手前、江口さんに対しても強く出る坂木。

江口さんは恐る恐る坂木に対してこう言った。


「さっき……馬場先生がこの辺りで相田くんを探してらして……さっきも見掛けたから……。また、いらっしゃるんじゃないでしょうか?」

「……クソッ!」


坂木の舌打ちが、僕の後ろから聞こえる。

取り巻きの、僕を掴む力も緩んだ。

助かった……。
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