マーブル色の太陽
「相田くん……大丈夫……ですか?」
坂木たちが帰っていくと、再び、江口さんが金色の楽器を持ったまま現われ、声を掛けて来てくれた。
「うん、ありがとうございます。助かりました。だけど……江口さんに……迷惑かかんないといいんだけど……」
「迷惑?」
「いや、だって僕、ほら……」
江口さんは僕がそう言うと、慌てて首を横に振った。
そして、にっこりと微笑んでくれた。
その仕草は、迷惑ではないという意思表示なのか、それとも「イジメられている」という僕にとっては言いにくい言葉を、言わせないようにしてくれたのか、それはわからない。
でも、どちらにしろ、江口さんの行為は僕にとって嬉しかったし、有り難かった。