マーブル色の太陽
「赤です」
「ん?」
「赤い軽自動車です。なんなら年式とグレードも言いましょうか?」
僕がそう言うと、先生の顔は見る見るうちに、真っ青になって行った。
さっきのにこやかな顔も見たことがなかったが、これほど怖い形相を見るのも初めてだった。
「運転してたのは二十代後半の女性。髪は短め、肩まで届くかぐらいだったかな? 車内は女性にしては質素で、汚いお守りがひとつ。確か、担当教科は……」
「も、もういい! 言わないでくれ! お願いだ……」
先生は椅子から立ち上がるとそう叫んだ。
どうやら核心をついたらしい。
そして、床に座り込むとしばらく動かなかった。