マーブル色の太陽
僕が言ったことは、すべてはったりだった。
赤い軽自動車なんて腐るほど走っているだろし、二十代で短めの髪の女性もよくいると思う。
そもそも、気絶するほど頭を打っていて、車内の様子を見ているわけはないし、汚いお守りなんて、事故にあわなかったとしても瞬時に判断できるわけがない。
僕が街のスーパーで見かけたのが、馬場先生の車だけではなかったということだ。
僕が見かけたもの。
彼女の赤い軽自動車に乗ってスーパーにやって来た馬場先生。
生徒のことには興味がなくても、女性にはちゃんと興味があるんだと、僕らには見せたことのないその笑顔を見ながら、そう思った記憶が役に立った。
でもまさか、本当に馬場先生の彼女が、僕をひき逃げした犯人だったとは思ってもみなかった。