マーブル色の太陽
「肉まん……好きですか……?」
「え?」
江口さんの思ってもみない一言に、僕は返事が一瞬遅れた。
僕らが、夕暮れの通学路を二人で歩いている時だった。
普段からあまり話すことが無かっただけに、この時も会話らしい会話は成立していなかったが、僕はただ二人だけで歩けることに満足していた。
「いえ……お好きじゃないなら……いいんです……」
「い、いえ……ちょっと、唐突だったもので……」
「そ、そうですよね……すみません! いっつも、そう言われるんですよ……」
「いつもって誰からですか?」
僕は何の気なしに聞いたつもりだった。
でも、次の江口さんの一言は、僕の盛り上がった気分を一気に引き下げる。