マーブル色の太陽
決めたじゃないか。
期待しない。
夢想しない。
それは生きていく上での僕のルール。
悪い方へ転がれば坂木たちに囲まれ、良い方に転がっても、江口さんは坂木の彼女じゃないか。
僕のためだけに微笑んでくれることはない。
「すみません。急用、思い出したんで帰ります。今日は楽しかったです。肉まんもありがとうございました」
僕は頭を下げると、江口さんが口を開くよりも早く公園を立ち去った。
出口のゴミ箱に握りつぶした肉まんを投げ入れながら、上を見あげる。
空は、さっき思っていたよりも暗くなく、遠くに見える山の稜線は、まだ赤く染まっていた。