マーブル色の太陽
「あの……」
電信柱の陰から江口さんが現れた。
「え……ぐちさん?」
眼鏡をかけてない江口さんは、一瞬、誰だかわからなかった。
昨日、肉まんを食べている時に初めて外したところは見たのだが、僕は視界が暗くなり始めていたし、江口さんと坂木がつきあっているという事実にショックを受けて、よく見てなかった。
「えっと……昨日の……こと……なんですけど……」
江口さんは昨日のことで何かを言おうとしている。
だけど、もう関わりたくない。
たとえ昨日のことに何か意味があったとしても、僕はもう聞きたくなかった。