マーブル色の太陽
「江口さん……。こうやって一緒に歩いてるとこ、坂木くんに見られたら……お互いまずいんじゃないですか? ……もう、時間もありませんし、先に行ってください」
そう僕が言うと、江口さんはものすごく悲しそうな顔になった。
眼鏡を外したからなのか、余計にそう思えた。
細くもなく太くもなく、昨日までとは違い、キレイに切り揃えられた眉をふと翳らすと、静かに涙を流した。
みどりのようにぽろぽろこぼすのではなく、スッとキレイなラインを描く、一筋だけの涙だった。