マーブル色の太陽

僕は礼を言って、ナースステーション横の処置室を出る。

さっきからずっと、気にして見ているのだが、あかねさんの姿は見つけることが出来なかった。

そこに、あのお喋り好きな、年増の看護師が通りかかった。


「あの……」

「あら? 調子はどう?」

「はい、お陰さまで、今日で終わりです。お世話になりました」

「いえいえ、お大事に」

「あの……矢沢さんは……今日は……」

「あ、ああ、矢沢さん? あのね……」


お喋り好きな看護師は、なぜか口ごもりながらそう言った。

そして、周りに人のいないことを確認して、僕をナースステーション前の娯楽室へと連れて行った。
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