マーブル色の太陽

時計を見る。

午後四時五十分。

そろそろ江口さんが来る頃だ。

江口さんにはこの場所と時間だけを書いたメモを渡していた。

ここなら誰にも邪魔されずにゆっくりと話せるし、坂木たちに見つかる可能性は低いはずだ。

電話や、監視の目をかいくぐって伝えるのでは誤解を招く。

だから、じっくりと江口さんが納得してくれるまで話せる、静かな場所を考えた。

それには、この人気のない総合外来は、やっぱりうってつけだったと考えていた、その時だった。



再び、エレベーターの止まる音がする。

僕はもう一度、鏡で自分の姿を確認して、江口さんが出てくる扉の方を向いた。
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