マーブル色の太陽
−ハンムラビ法典196・197条−
「目には目を歯には歯を」
「くくく……」
これは坂木に対する宣戦布告なんだろう。
やられたらやりかえす。
本来の意味は違うと授業で習ったが、頭の悪い坂木にはこれで十分だろう。
そう、僕は坂木を追い詰めなければならない。
やられたらやりかえす。
暴力に対する暴力は何も生まないし、さらなる暴力を引き起こすことは分かっている。
それでも僕は引き下がれない。
僕は、世界史の教科書の横に置いてあるビニール袋を見ながらそう思っていた。
中には、漆黒の綺麗な髪の毛が一束、蛍光灯の明かりに照らされてキラキラと光っていた。