マーブル色の太陽


「ん?」

「その人……そんなに大事な……人?」

「…………」


みどりにそう聞かれて、答えることが出来なかった。

大事な人。

改めて考えてみると、あかねさんは、僕にとって、どれくらい大事な人なんだろうか。

確かに、一緒にチョコパイを食べたり、私服姿を見たり、プライベートのことを聞けたり、僕にとっては特別な時間だった。

ものすごく楽しい時間だった。

だけど、それだけ。

たった一週間程度の入院生活で優しくされただけ。

言葉にすればその程度だ。

あかねさんにとっても、僕の存在なんか入院患者のひとりにすぎないと思う。

だけど、何かが引っかかる。

僕は何かを忘れている。
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