マーブル色の太陽
江口さんの席に近づく男がいる。
ベランダ側から入ってきたその男は、突っ伏している江口さんを見ると、一瞬、戸惑うような素振りを見せたが、意を決したように江口さんに近づいていった。
教室の中の音は、窓が閉まっているため聞こえない。
男は江口さんに、何か話しかけているようだ。
顔を上げる江口さん。
一瞬、いつもの素敵な笑顔を見せたが、目当ての人間ではなかったのか、見たことのないような仏頂面を作った。