マーブル色の太陽
「私……どうすれば……いいかな?」
「江口さんはどうしたいの?」
江口さんは僕の顔を、上目遣いにじっと見つめる。
その目は少し、僕を探るような、責めるような感じがした。
何かを言って欲しいのだろう。
「相田くんは……どう思ってるの? ……私のこと」
僕は、不機嫌そうに見える顔を作りながら、教室の外を見る。
自分の席に座ったままで僕を見つめる、江口さんの気持ちを痛いほど感じた。
「帰るね。江口さんは僕の気持ちを……今の状況を理解してくれる、ただ1人の人だと思ってた……。僕が甘えてたんだよね……。ごめん……」
僕は、そう言いながら、自分の机からカバンを取る。
教室の後ろの出口に向かい、引き戸を開け、廊下に出る。
引き戸を後ろ手に閉めた後、きっちり閉まったかを確認するフリをして、江口さんを見た。
江口さんは、呆然とした表情のまま、黒板の方を見て固まっている。
それを確認すると、僕は、廊下を下駄箱ある方へと、ゆっくりと歩いた。