マーブル色の太陽
「もうちょい話あるからさ、先、行っててくんない?」
合瀬が2人を帰るように促す。
原田はサッサと僕らの元から去りそうな気配を見せた。
きっと、少しでも長く、江口さんと2人きりになりたいのだろう。
「遠くにいるから……いちゃダメ?」
江口さんは、余程、原田といたくないのか、そう食い下がった。
「大丈夫。5分したら行くから」
合瀬が断ろうとするのを遮って、僕はそう言った。
きっと、僕の言葉の方が江口さんを動かせる。
そんな僕を見て、合瀬の口角は、江口さんの立っている場所からではわからない程度に小さく歪んだ。
江口さんは、まだ何か言いたげな目をしていたが、こちらを何度も振り返りつつ、廊下の角を曲がり、向こう側へ消えた。