マーブル色の太陽


「…………」


野中は僕と視線を合わせようとはせず、自分の靴で掘り返した地面を見ている。


「話って何……かな?」


僕はオドオドしたフリをしながら、野中にそう問いかけた。

野中は、僕の声にこちらを向くが、まだ視線は合わせようとしない。


「いや……その……」

「は、話、無いなら行くけど? 僕、まだ、しおり作らなきゃいけないんだ。早く提出しないと、馬場先生に怒られちゃうし。ご、ごめんね」」


わざと馬場先生という単語を使う。

その単語を使ったのは、僕が、以前と変わらず、気が弱いくせに、馬場先生という後ろ盾を得て、少々気が大きくなっていると思わせるためだ。
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