マーブル色の太陽


「どうしてサトちゃんが出て行かないといけないの!?」

「み、みどりちゃん……」


今、思えば、僕らの担任は若かった。

先生になって、まだ三年くらいだったんじゃないだろうか。

父親が「いくら、低学年とはいえ、あんなに若くて大丈夫なのか?」と母親と話していたのを覚えている。

担任はみどりを持て余し、どうしていいのか、どう言っていいのかわからず、視線を泳がせていた。


「サトちゃんはいい子でしょ? イジメたりしないし、宿題だって忘れない……」

「悪い子だから出て行くんじゃないのよ。少し……みんなと一緒にお勉強がするのが苦手みたいなの」


隣の席に座る、年配の女教師が助け船を出す。

担任は、ただ大袈裟に頷いている。


「サトちゃん、みんなと仲良しだよ? お勉強だって、いつも教えてくれるもん!」


みどりは食い下がる。

それを見る担任の目が、意地悪く鋭くなっていくのに僕は気づいた。

こういう事に慣れていないのと、意外に食い下がるみどりに、小学生ということを忘れたのだろうか、担任は、次に酷い言葉を吐く。

 
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