マーブル色の太陽


「坂木くん、ちょっと待って!」


坂木は止まらない。

僕を無視して歩き続ける。

僕は一定の距離を保ったまま、坂木を追いかけた。

坂木は焼却炉の横の大きなゴミ箱まで来ると、こちらを振り向く。

そして、カバンを投げ捨てると、僕に歩み寄り、胸倉を掴んだ。


「お前、最近、調子こいてんじゃねえか?」

「ち、調子こく?」


坂木は次の言葉を繋げない。

それは繋げないだろう。

これまで、さんざん蔑んできた人間が、堂々と振る舞い出し、その代わりに自分がクラスから孤立した存在になりつつある。

何が起こっているのかわからないだろうし、自分が今、感じている感情さえ、上手く言葉には出来ないだろう。

ただ「ムカツク」としか。
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