マーブル色の太陽

「とにかく……来いって……」

「そう。わかった」


僕は寝惚けたフリをした。

今は、驚いた表情も、緊張した表情も見せるべきではない。


「お前……何かしたのか?」


父親が問う。

父親のこんな表情も初めて見た。


「う〜ん……修学旅行の事とかかな? 先生は何か言ってたの?」

「…………」


二人とも答えない。

いや、口に出したくないのだろう。

自分の息子が、自分の最愛の子供が、罪を犯した疑いがある。

それを、両親である自分達の口からは言いたくなかったんだろう。

言えば、堪えている何かが崩れそうで、言えなかったんだと思う。
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