マーブル色の太陽
「失礼します」
十分程経っただろうか。
無言の重苦しい雰囲気を破るようにして、指導室のドアが開いた。
年配の男と、若い男が入ってくる。
「南署の大久保です。こっちは高祖です」
大久保と、高祖と呼ばれた男が頭を下げる。
私服と言うこと、柔和な顔の年配者ということ、それと、僕の年齢を考えれば、当然、少年課だ。
でも、どうして警察署での取り調べではないのだろうか。
「我々は席を外した方が宜しいでしょうか?」
琢磨が言う。
それに対して大久保は、僕の顔を見ながら、「どうする?」と、とても刑事とは思えないような笑顔で聞いてきた。
ただ、目だけは笑っていなかった。
僕は真っ直ぐに大久保の顔を見ながら答える。