マーブル色の太陽
「先生、それは本当なんですか? その、坂木君という子が、相田君をイジメていたと?」
大久保がそう言いながら、馬場先生を見る。
馬場先生は腕を組み、僕を睨んだまま黙っている。
よく見ると、体は小刻みに震え、半袖のシャツから伸びる腕を掴んだ爪は、うっすらと血が滲むほどに食い込んでいた。
「馬場君! どうなんだ!」
校長が叫ぶ。
その横で教頭がおろおろとしている。
二人とも家のローンや子供の大学進学、そんな事が、頭に浮かんでいるのかもしれない。
それか、この問題が公になり、自らの職を辞して責任を取る日の事を想像しているのかもしれない。
僕はそれを見て、また笑いそうになる。
教育者として、自分の子供に与える愛情の、ほんの数パーセントでも僕ら生徒に与えていれば、こういうことはなかったのにね、と。
大久保の視線に気づく。
マズイ。
僕は俯いた姿勢になり、顔を隠した。