マーブル色の太陽


「相田君、それは、本当ですか?」


大久保の問いに、僕は無言で頷く。


「そこで、坂木君と会いましたか?」

「……はい」

「彼はどんな格好をしていましたか?」

「格好……? わかりません……暗かったんで……」

「ほう? では、どうして坂木君とわかったんでしょうか?」


口調は変わらないものの、大久保の選ぶ言葉とタイミングは、確実に尋問に近いものになっていった。


「追いかけられたんです……。僕も、もうイジメが嫌で……きっちりと話をつけたいと思って行きました」


僕の言葉に、大久保は何度も頷いている。

続けて話せということだろう。


「逃げたくなかった……。でも、坂木君が来るのが遅くて……僕は途中の路地まで見に行きました……」

「彼は来たのかな?」

「はい……。でも、でも!」


僕は取り乱した演技をする。

大久保は騙せていないかもしれないが、高祖の同情は引き出せているようだ。

さっきから、メモを取る手が休んでいる。
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